映像制作の対策
ページが切り替わるときに、ガラスが砕けるとか水面が波立つとかいった映像的な効果を付加するなら、そもそも建てないほうを選ぶんですよね。
あなたがクールなものをつくるのをあきらめていなければいいんですが、それはまちがいですよ。
E氏のチームは、7月下旬か8月上旬にはコンピュータメーカーへ出荷するべく作業を続けていた。
新学期商戦には手遅れだが、クリスマスにはまだ問に合う。
C氏とE氏は、不安定な関係を改善しようとしていた。
クロームのリリース日がほぼ決定したいま、E氏とC氏は、どうやってうまく付き合っていくか話し合えるようになった。
そこでわかったのは、おたがいが考えていた以上に、ふたりには共通点が多いということだった。
どちらもきわめて知能が高く、Aクラスの企業戦士として、敵を倒し、業界を変えるテクノロジーを送りだすことが大好きだ。
C氏は、E氏のテクノロジー開発にかける情熱を高く評価した。
E氏は、C氏の攻撃性に強く共鳴した。
のちに、E氏は、C氏は「いままでに出会ったなかで最高の上司のひとり」になりつつあると語ることになる。
そんな感情は長続きしなかったが。
クローム・チームは、I社に土壇場で救われても、C氏との関係修復が進んでも、ひと息つこうとはしなかった。
クロームの発するメッセージが、C氏との対立や、ウィンドウズの出荷にまつわる混乱や、進行中の司法省との法廷闘争にのみこまれてしまうのが心配だったので、E氏とクローム・チームは、社内でちょっとした伝道活動をおこなうことにして、マイクロソフトの重役を対象としたテクノロジー紹介ツァーに乗りだした。
M氏、M氏、O氏といった面々にクロームのデモをおこない、このテクノロジーが、社内で開発中の数多くのテクノロジーのなかで抜きんでている理由をくりかえし説明した。
「あれはクロームが生きのびるためだった」M氏は回想する。
会社の上層部を味方につけて、絶対にクロームが抹殺されないようにしたんだ。
M氏によると、チームは「かなりクールなデモを、かなりちゃちやっと」つくりあげた。
「そんなに大勢は必要ないだろう」C氏は、たとえばそんなふうにいう。
あとふたり減らしてもなんとかなるはずだ。
やがて、C氏はE氏の人員割り当てを調べた。
E氏はソフトウェアのテスト係を13名はずし、彼らを開発チームにまわしてクロームの完成を急いでいた。
「テスト係が足りないな」C氏がいった。
「わかってます」E氏はこたえた。
そっちを減らしたのは、開発要員がもっと必要だったからです。
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